傷跡を消す方法とは?セルフケアから皮膚科・美容皮膚科での治療まで解説

投稿日:
2026/05/22
傷跡
権東 容秀医師
著者
東京イセアクリニック
日本形成外科学会 認定専門医
日本皮膚科学会 認定専門医
権東 容秀

Shere

転倒や手術、ニキビなどによる傷跡は、時間が経っても完全に消えずに悩んでいる方が多くいます。
「セルフケアを続けているけど改善しない」「病院に行くべきか迷っている」という声もよく聞かれます。

傷跡は種類や状態によってアプローチが大きく異なり、市販品で対応できるものもあれば、クリニックでの治療が必要なものもあります。
本記事では、傷跡が残る仕組みから、セルフケアの方法・限界、皮膚科・美容皮膚科での治療法まで、医療的な観点から詳しく解説します。

傷跡が残る仕組み

傷跡の種類や状態を正しく理解することが、適切なケア・治療を選ぶ第一歩です。まずは傷跡が形成されるメカニズムと、傷跡の主な種類を確認しておきましょう。

傷跡ができるメカニズム

皮膚に傷ができると、体は以下の段階を経て傷を修復しようとします。

【1. 止血期(受傷直後)】

血小板が集まり血栓を形成して出血を止めます。同時に炎症を引き起こす物質が分泌され、修復のための準備が始まります。

【2. 炎症期(受傷後1〜4日)】

免疫細胞が傷口に集まり、壊死組織や細菌を除去します。この時期に傷口が赤く腫れるのは正常な反応です。

【3. 増殖期(受傷後数日〜数週間)】

線維芽細胞がコラーゲンを産生し、新しい組織(肉芽組織)をつくります。皮膚表面では上皮細胞が増殖して傷口を閉じていきます。

【4. 成熟・リモデリング期(受傷後数週間〜数年)】

コラーゲンが整列・強化されながら瘢痕(はんこん)組織が形成されます。この段階で修復が正常に行われれば目立ちにくい傷跡になりますが、過剰な修復反応が起きると盛り上がりや凹みが残ります。

傷の深さ・大きさ・感染の有無・個人の体質(ケロイド体質など)によって、最終的な傷跡の状態は大きく異なります。

傷跡の種類(凹み・盛り上がり・色素沈着など)

傷跡はその見た目や成り立ちによって、以下のように分類されます。

【色素沈着(炎症後色素沈着)】

傷や炎症が治癒した後にメラニンが過剰に産生され、茶色・黒っぽい跡として残るものです。ニキビ跡や擦り傷跡に多く見られます。紫外線の影響で悪化しやすいのが特徴です。

【赤み(血管拡張・炎症残存)】

修復過程で血管が増生し、赤みが残っている状態です。時間の経過とともに落ち着くことも多いですが、長期化する場合は治療が有効です。

【凹み(萎縮性瘢痕)】

皮膚の深い層まで損傷が及んだ際に、コラーゲンが十分に再生されずに皮膚が陥凹した状態です。ニキビ跡・水痘(水疱瘡)跡・深い擦り傷跡などに多く見られます。

【盛り上がり(肥厚性瘢痕・ケロイド)】

過剰なコラーゲン産生により傷跡が盛り上がった状態です。肥厚性瘢痕は傷跡の範囲内に収まりますが、ケロイドは傷跡の境界を超えて広がり、赤みやかゆみ・痛みを伴うことがあります。ケロイドは体質的な要因が強く、治療後も再発しやすいことが知られています。

【白い傷跡(白色瘢痕)】

瘢痕が成熟し、メラニン細胞が失われた結果、白〜銀白色になった状態です。時間が経った傷跡に多く、この段階では外用薬の効果が限定的になります。

傷跡を消すセルフケア

軽度の傷跡や新しい傷跡であれば、セルフケアで目立ちにくくできる場合があります。ただし、傷跡の種類や状態によって効果は異なるため、適切な方法を選ぶことが重要です。

市販の薬・クリーム・テープでのケア

【傷跡クリーム・外用薬】 ヘパリン類似物質配合のクリーム(ヒルドイドジェネリックなど)は、保湿・血行促進・抗炎症の作用で、赤みや硬さのある新しい傷跡の改善に有効です。シリコンジェルはコラーゲンの過剰産生を抑制し、肥厚性瘢痕・ケロイドの予防・改善に一定のエビデンスがあります。

【シリコンテープ・傷跡テープ】 傷跡を覆って保湿し、外的刺激から守りながら適度な圧迫をかけます。手術跡や縫合跡の初期ケアとして広く使用されており、継続使用で盛り上がりや赤みの軽減が期待できます。

【ビタミンC・トラネキサム酸配合製品】 色素沈着が残る傷跡には、メラニン産生を抑制する成分が有効です。市販の美容液・クリームに配合されており、継続使用で色素沈着の改善が期待できます。

いずれも傷口が完全に閉じてから使用を開始し、医薬品の場合は用法・用量を守って使用することが大切です。

保湿・紫外線対策

傷跡のセルフケアにおいて、保湿と紫外線対策はどの傷跡にも共通する基本です。

【保湿の重要性】 乾燥した皮膚は炎症が長引きやすく、色素沈着や硬化が悪化します。傷跡部位を含め、毎日のボディクリームやローションで十分に保湿することが修復を助けます。

【紫外線対策の重要性】 傷跡は通常の皮膚よりも紫外線ダメージを受けやすく、色素沈着が悪化・固定する原因になります。外出時は日焼け止めを塗布し、衣類や日焼け止めテープで物理的に紫外線を遮断することが重要です。特に色素沈着が残っている傷跡の紫外線対策は、改善を早める意味でも欠かせません。

セルフケアの限界

セルフケアは新しい傷跡や軽度の色素沈着には一定の効果が見込めますが、以下のような傷跡には限界があります。

・白く萎縮した古い傷跡

・陥凹した傷跡(ニキビ跡・水疱瘡跡など)

・重度のケロイド

・肥厚性瘢痕

・深いやけどの跡

・数ヶ月以上のセルフケアで変化が見られない傷跡

これらの傷跡に対しては、クリニックでの医療的なアプローチが必要です。「長年ケアを続けても改善しない」「傷跡がどんどん盛り上がってきた」という場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。

傷跡を消す治療法

セルフケアで改善が難しい傷跡は、皮膚科・美容皮膚科での専門的な治療が有効です。

治療法は傷跡の種類・深さ・経過によって異なり、複数の治療を組み合わせることでより高い効果が期待できます。病院・クリニックを受診する際は、傷跡の状態をしっかり診察したうえで最適なプランを提案してもらうことが重要です。

レーザー治療

レーザー治療は傷跡の改善において幅広く用いられており、傷跡の種類によって適したレーザーを選択します。

【フラクショナルレーザー・CO₂レーザー】

膚に微細な熱ダメージを与えることでコラーゲンの再生を促し、凹凸・テクスチャー・色を改善します。凹んだ傷跡(萎縮性瘢痕)や色素沈着に特に有効で、数回のセッションで改善が期待できます。

【Vビームレーザー(パルス色素レーザー)】

赤みや血管に反応するレーザーで、赤い傷跡・肥厚性瘢痕の赤みや炎症を抑制します。盛り上がりを平坦化する効果もあり、早期の肥厚性瘢痕やケロイドに対して使用されることがあります。

【Qスイッチレーザー・ピコレーザー】

メラニン色素やヘモグロビンに選択的に作用し、色素沈着や赤みを改善します。色が濃く残っている傷跡に適しています。

レーザー治療はダウンタイムや治療回数が種類によって異なるため、医師との十分な相談のうえで治療プランを決めることが大切です。

【ジェネシス(Genesis)】

ロングパルスNd:YAGレーザーを用いた治療法で皮膚の深部(真皮層)に熱を加えることで、コラーゲンの再構築を促し、肌のキメを整えます。また、血管に作用することで赤みを軽減します。

ダーマペン・ピーリング

【ダーマペン】

極細の針を用いて皮膚に微細な穿孔をつくり、肌の自己修復力を活性化させる治療です。コラーゲン・エラスチンの産生が促進され、凹んだ傷跡のテクスチャー改善に有効です。成長因子やヒアルロン酸などの薬剤と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。比較的ダウンタイムが短いのも特徴です。

【ケミカルピーリング】

リコール酸・サリチル酸などの酸性薬剤を用いて皮膚の古い角質を除去し、ターンオーバーを促進します。色素沈着の改善や肌のトーンアップに有効で、レーザーやダーマペンと組み合わせることで相乗効果が期待できます。傷跡の凹凸改善にはやや限界があるため、他の治療と併用されることが多いです。

【ニードルRF】

微細な針で真皮〜皮下に高周波(RF)を照射し、熱刺激によりコラーゲン再構築(リモデリング)と新生を促します。これにより皮膚の質感改善や軽度の隆起性瘢痕の改善が期待できます。

また、機種によっては針から薬剤(例:PDLLAなど)を導入することで、コラーゲン産生を補助し、陥凹性瘢痕の改善にも応用されます。 

修正手術

傷跡の大きさ・形・位置によっては、外科的な修正手術が最適な選択肢になる場合があります。

【瘢痕切除・縫合】

目立つ傷跡を切除し、張力がかかりにくい方向に縫合し直す方法です。傷跡を小さく・目立ちにくくすることを目的とします。

【Z形成術・W形成術】

傷跡の向きを変えたり、線状の傷跡を細かく分断することで目立ちにくくする手術です。皮膚の緊張方向に沿って傷跡を再配置することで、より自然な仕上がりを目指します。

【植皮術・皮弁術】

広範囲の傷跡や深いやけど跡に対して、他の部位から皮膚を移植する手術です。重症例に適応されます。

手術による修正は、術後の傷跡管理(保湿・圧迫・紫外線対策など)とセットで行うことが重要です。

傷跡を消すことに関するよくある質問

昔の傷跡でも消せる?

白く萎縮した古い傷跡にセルフケアが大きな効果を発揮することは少ないですが、クリニックでの治療であれば古い傷跡にも改善が期待できます。フラクショナルレーザーやダーマペンは古い傷跡のコラーゲン再生を促し、テクスチャーや色を改善する効果があります。ただし新しい傷跡に比べると改善の程度には限界があり、複数回の治療が必要になる場合がほとんどです。「時間が経っているから諦めていた」という方も、まずは専門医に状態を診てもらうことをおすすめします。

傷跡を消す治療は保険適用になる?

傷跡の治療における保険適用の有無は、治療の目的・傷跡の原因・施術内容によって異なります。機能障害を伴うケロイドや肥厚性瘢痕の治療(ステロイド注射・手術など)は保険適用になる場合があります。一方、美容目的のレーザー治療・ダーマペン・ピーリングなどは自由診療(保険適用外)となるのが一般的です。保険適用の可否については、受診する医療機関(皮膚科・形成外科・美容皮膚科)によっても判断が異なるため、事前に確認することをおすすめします。

子どもの傷跡を消す方法は?

子どもの傷跡ケアは、皮膚が薄くデリケートなため、自己判断での市販薬使用には注意が必要です。ステロイド含有製品は小児への使用に注意が必要なものが多く、使用する場合は医師に相談のうえで行いましょう。まずは小児科・皮膚科・形成外科を受診し、傷跡の状態を診察してもらったうえで適切なケア方法を指示してもらうことが安心です。傷跡の治療は早期に始めるほど改善しやすいため、気になったら早めに受診することをおすすめします。


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イセアクリニックでは、形成外科専門医・皮膚科専門医・傷跡専門医による丁寧なカウンセリングのもと、傷跡の種類・状態・発生からの経過に合わせたオーダーメイドの治療プランをご提案しています。

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