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  • 鼻先のヒアルロン酸注入の危険性を医師が解説!

    投稿日:
    2023/01/18
    ヒアルロン酸 鼻先
    酒井 新介医師
    著者
    東京イセアクリニック
    日本形成外科学会 認定専門医
    技術指導医
    酒井 新介

    Shere

    鼻先へのヒアルロン酸注入は危険です。どのような危険性があるのか、鼻先へのヒアルロン酸注入で稀に起こる重い副作用や危険な理由について解説します。鼻先を細くする他の治療法も紹介。自分に合った安全な方法を選ぶポイントをお伝えします。

    鼻のヒアルロン酸注入

    鼻のヒアルロン酸注入は、切らずに鼻スジを通すことができる治療法です。ヒアルロン酸を鼻根部から鼻背部に注入することで鼻の高さとメリハリを出すことができるため、鼻先にまで注入しなくても、鼻先を含め全体的に細く見える効果も期待できます。鼻先に直接ヒアルロン酸を注入すると危険を伴うため、基本的に鼻先に注入することはありません。施術時間は約30分、持続期間は製剤の種類にもよりますが、6~12か月です。ダウンタイムは針刺入部の小さな内出血で、長くても2週間ほどで消退します。生活上の制限も殆どなく手軽に受けることができます。

    鼻先のヒアルロン酸注入は危険?

    鼻先へのヒアルロン酸注入が危険な理由は、鼻先の構造にあります。鼻先には皮脂腺や毛細血管が多いため感染を起こしやすいことと、動脈への誤注入による塞栓や圧迫による血流障害の危険性が高いことが挙げられます。動脈塞栓は重い副作用を伴います。技術力の高い医師であっても、誤注入の可能性はゼロではありません。深刻な危険を伴うことから、鼻先には注入を行わないクリニックが多いのです。

    鼻先にまれに起こるヒアルロン酸注入の重い副作用

    鼻先へのヒアルロン酸注入でまれに起こる重い副作用として、「しこり、感染」「皮膚壊死」「失明」があります。それぞれの副作用が起こる仕組みを説明します。

    しこり、感染

    鼻先は皮膚が厚く、ヒアルロン酸がスムースに注入できるスペースが限られています。鼻先にヒアルロン酸を浅く注入しすぎると、皮膚直下に、しこりのように硬くヒアルロン酸がとどまることがあります。鼻は皮脂腺が発達しているため、皮下にとどまったヒアルロン酸は毛嚢の炎症などをきっかけに感染を引き起こすことがあります。通常であれば注入後のしこり感は1~2週間で自然に解消されますが、その後も硬さが残るようでしたら、医療機関にご相談ください。

    皮膚壊死

    皮膚壊死とは皮膚が死んでしまうこと。注入したヒアルロン酸が皮膚に栄養を運ぶ動脈を圧迫したり詰まらせたりすると、皮膚の血液の還流が悪化し壊死してしまうことがあります。皮膚が壊死すると傷跡が残り(瘢痕)、黒ずみ(色素沈着)や鼻尖部の変形を生じる場合があります。医師の技術や経験、細い針を使わないことである程度のリスクを避けることができます。

    失明

    注入したヒアルロン酸が眼につながる動脈を詰まらせたりした場合、失明してしまうことがあります。即座にヒアルロニダーゼで溶解しないと取り返しがつきません。しかし、鼻尖のヒアルロン酸で失明を引き起こすことはまれであり、医師の技術や経験、細い針を使わないことである程度のリスクは避けることができます。

    鼻先にヒアルロン酸注入が危険な理由

    鼻先へのヒアルロン酸注入が危険な理由は、注入可能なスペースが限られているからです。入れすぎると皮膚直下まで硬くなり、血液の環流が容易に悪化します。また、鼻先の構造が誤注入や感染を招きやすいために、合併症を起こした場合重篤化する傾向にあるため、鼻先へのヒアルロン酸注入はおすすめできません。

    鼻スジならヒアルロン酸注入は危険じゃない?

    鼻スジへのヒアルロン酸注入にも危険は伴います。どの部位への注入にもアレルギーや動脈塞栓、血液還流の低下、感染のリスクはつきものです。ただし、鼻先に比べれば鼻スジは皮膚が柔らかく、注入するスペースが大きいため、感染や皮膚壊死のリスクは低いと言えます。鼻スジにヒアルロン酸注入を行う場合、鼻根(鼻の付け根)の骨膜上から、鼻背(いわゆる鼻スジ)の軟骨膜上に注入します。黒目の間付近に眼角動脈と鼻背動脈が交通する箇所があります。この場所で動脈塞栓を起こすと、内頚動脈系(脳や眼球を栄養する動脈)の眼角動脈へヒアルロン酸を押し込んでしまうことになり、失明や脳梗塞などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。

    その他の鼻先のヒアルロン酸注入の危険性

    その他、鼻先のヒアルロン酸注入を行った場合の危険性としては、アレルギーのリスクが考えられます。これは、鼻先に限ったことではなく、ヒアルロン酸注入をするすべての部位に言えることで、全くゼロにすることはできません。どの部位であっても以前にヒアルロン酸に対してアレルギーを起こしている場合は、ヒアルロン酸治療はお受けいただけません。
    製剤の選択については、国や公的機関の認証を受けているものやアレルギーを起こしにくい非動物性の製剤を用いていることを事前に確認しておくとよいでしょう。

    ヒアルロン酸以外の鼻先を細くする施術

    ヒアルロン酸以外の鼻先を細くする施術には、「鼻の糸リフト」「プロテーゼ」「鼻尖形成・鼻尖縮小」「鼻中隔延長」などの外科治療があります。それぞれの概要を紹介します。

    鼻の糸リフト

    プロテーゼは、鼻に人間の軟骨に似た医療素材プロテーゼを挿入し、主に鼻スジを作る手術です。シャープな鼻スジを作ることで、鼻全体がすっきりとした印象になります。L字型もしくはバード型の場合、鼻先まで挿入するため、鼻尖を細く尖らすこともできます。プロテーゼはコンタクトレンズにも使用されている、アレルギーを起こしづらい比較的安全な医療材料です。メスを入れるため約1週間のダウンタイムを伴いますが、見えるところに傷はできず、効果は半永久的です。取り出しや入替もできます。完成までは3カ月です。しかし、L字型もしくはバード型プロテーゼは長期的にみると鼻尖の皮膚が薄くなり、感染や飛び出しのリスクが高くなるので、現在では鼻先までのプロテーゼは用いられない傾向があります。

    鼻尖形成・鼻尖縮小

    鼻尖形成・鼻尖縮小は鼻先をシャープに整える手術です。鼻先の脂肪を除去したり、広がった左右の鼻翼軟骨を縫い寄せたりして鼻先の丸みを改善します。必要に応じ、耳介軟骨を移植して高さを出すこともできます。局所麻酔下で行います。ダウンタイムは2週間、完成までは3カ月です。

    鼻中隔延長

    鼻中隔延長は、全身麻酔で行う手術です。耳介軟骨または肋軟骨を鼻先に移植し、鼻先を高くするだけでなく、鼻先の向きを変えることもできる施術です。鼻先が上を向いているいわゆる「豚鼻」を気にされている方にもおすすめです。ダウンタイムは2週間、完成までは3カ月です。

    自分にあった安全な施術方法を選ぶには

    自分に合った安全な施術方法を選ぶには、主体的に治療に参加することです。ご自身の希望を明確にし、適応となる治療についての情報収集を行い、危険な施術方法を行っていないクリニックの中から技術力があるクリニックを選び、相談しましょう。治療方法はひとつではありません。医師が患者様の状態を診断するだけでなく、患者様自身のご希望を明確に伝えることで、ご自身に合った施術方法の選択に近づきます。

    プロテーゼによる隆鼻術
    鼻翼縮小(両側)
    鼻尖形成(耳介軟骨移植)の症例になります。

    こちらの症例を詳しく見る

    鼻のヒアルロン酸注入に関するよくある質問

    鼻のヒアルロン酸注入に関するよくある質問にお答えします。

    ヒアルロン酸注入で鼻先が壊死する確率は?  

    答え

    ヒアルロン酸注入で鼻先が壊死する確率は明確なデータはありません。動脈塞栓が起こると、99%の確率で壊死しますが、どちらかというと圧迫による血流障害や、感染に伴う皮膚壊死のリスクが高いです。

    鼻先のヒアルロン酸注入で失明することはある?

    答え

    眼に栄養を運ぶ動脈に誤注入してしまうと失明につながりますが、稀です。

    まとめ

    今回は以下の内容について説明させていただきました。

    ・鼻先のヒアルロン酸注入

    ・鼻先のヒアルロン酸注入は危険?

    ・鼻先に稀に起こるヒアルロン酸注入の重い副作用

    ・鼻先にヒアルロン酸注入が危険な理由

    ・鼻筋ならヒアルロン酸注入は危険じゃない?

    ・鼻先のヒアルロン酸注入で重い副作用が起こる確率

    ・その他の鼻先のヒアルロン酸注入の危険性

    ・ヒアルロン酸以外の鼻先を細くする施術

    ・自分に合った安全な施術方法を選ぶには

    鼻先へのヒアルロン酸注入は危険です。鼻先は皮膚が厚く皮脂腺に富んでいるため注入スペースが限られており、入れすぎると血流障害や感染を容易に引き起こします。軟骨の土台が脆弱な場合、注入量の割には得られる効果に乏しいため、一般的な治療ではありません。鼻へヒアルロン酸を注入する場合は、鼻スジに行うことでも鼻先まですっきり見える効果がありますが、どうしても希望される患者様のみ、太めのカニューレを用いて、鼻尖部へ少量注入のみ行っています。ヒアルロン酸以外で鼻先を細くしたい場合、鼻の糸リフト、鼻プロテーゼや鼻尖形成・鼻尖縮小、鼻中隔延長などの方法もあります。自分に合った安全な方法を選ぶには、ひとつの方法にこだわらず、自ら治療法やリスク、実績のあるクリニックについて情報収集し、専門家に希望を伝えながら相談することです。

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